Japanische Klassiker mit Furigana
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おりつとこらと
お律と子等と
Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme
」
父は多少持て余しながらも、まだ薄笑いを止めなかった。
「着物と帽子とが一つになるものかな。」
「じゃお母さんはどうしたんです? お母さんだってこの間は、羽織を一つ拵えたじゃありませんか?」
姉は父の方へ向き直ると、突然険しい目つきを見せた。
「あの時はお前も簪だの櫛だの買って貰ったじゃないか?」
「ええ、買って貰いました。買って貰っちゃいけないんですか?」
姉は頭へ手をやったと思うと、白い菊の花簪をいきなり畳の上へ抛り出した。
「何だ、こんな簪ぐらい。」
父もさすがに苦い顔をした。
「莫迦な事をするな。」
「どうせ私は莫迦ですよ。慎ちゃんのような利口じゃありません。私のお母さんは莫迦だったんですから、――」
慎太郎は蒼い顔をしたまま、このいさかいを眺めていた。が、姉がこう泣き声を張り上げると、彼は黙って畳の上の花簪を掴むが早いか、びりびりその花びらをむしり始めた。
「何をするのよ。慎ちゃん。」
姉はほとんど気違いのように、彼の手もとへむしゃぶりついた。
「こんな簪なんぞ入らないって云ったじゃないか? 入らなけりゃどうしたってかまわないじゃないか? 何だい、女の癖に、――喧嘩ならいつでも向って来い。