Japanische Klassiker mit Furigana
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おりつとこらと
お律と子等と
Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme
「それでもう好いの?」
母は水を手向けながら、彼の方へ微笑を送った。
「うん。」
彼は顔を知らない父に、漠然とした親しみを感じていた。が、この憐な石塔には、何の感情も起らないのだった。
母はそれから墓の前に、しばらく手を合せていた。するとどこかその近所に、空気銃を打ったらしい音が聞えた。慎太郎は母を後に残して、音のした方へ出かけて行った。生垣を一つ大廻りに廻ると、路幅の狭い往来へ出る、――そこに彼よりも大きな子供が弟らしい二人と一しょに、空気銃を片手に下げたなり、何の木か木の芽の煙った梢を残惜しそうに見上げていた。――
その時また彼の耳には、誰かの梯子を上って来る音がみしりみしり聞え出した。急に不安になった彼は半ば床から身を起すと、
「誰?」と上り口へ声をかけた。
「起きていたのか?」
声の持ち主は賢造だった。
「どうかしたんですか?」
「今お母さんが用だって云うからね、ちょいと下へ行って来たんだ。」
父は沈んだ声を出しながら、もとの蒲団の上へ横になった。
「用って、悪いんじゃないんですか?」
「何、用って云った所が、ただ明日工場へ行くんなら、箪笥の上の抽斗に単衣物があるって云うだけなんだ。