Japanische Klassiker mit Furigana
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おしげ
お繁
山本 周五郎
Lesen Sie お繁 (おしげ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.857 Zeichen · 14 Bildschirme
松並木のかなたに、ところどころ暗く葦のむらがったところが見えるのは沼地か湿地で、ときどき鵜や葦切が飛び立ったり隠れたりしている。川獺や鼬の棲んでいるのもそのあたりである。
「蒸汽河岸の先生よ」
ふいに声をかけられたので、わたしは驚いて振り返った。
いつやって来たものか十三四になる少女が岸の上に立っていて、わたしの振り返るのを見るとにいっと笑った。
「繁あねか」
わたしが云った、「どうした、なにしに来たんだね」
「ええびだよ、ええびに来ただよ」
「一人かい」
「おんだらいつも一人だ、知ってんべがね」
「妹はどうしたんだ」
「あまか……」
お繁はくすんと鼻を鳴らせた、「墓ん場にねかしてあんよ」
「墓場に?――川獺に喰われてしまうぞ」
「ふん、つまんねえ」
少女は眼をそらせながらそこへかがんだ。
そのときつぎはぎだらけの垢染みた袷がぶざまに紊れて、びっくりするほど白いやわらかな内腿が臀のほうまでむきだしになった。この無作法な身ごなしがわたしを狼狽させたのはいうまでもない、ほんの一瞬ではあったがわたしは顔の熱くなるのを感じながら慌てて眼をそらせたのである。
彼女の体にそんな美しいところがあろうとは思いがけないことである。