Japanische Klassiker mit Furigana
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からたち
からたち
宮本 百合子
Lesen Sie からたち von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.987 Zeichen · 4 Bildschirme
うちの垣根は表も裏もからたちの生垣で、季節が来ると青い新芽がふき、白い花もついた。
裏通りは藤堂さんの森をめぐって、細い通が通っており、その道を歩けばからたちの生垣越しに、畑のずいきや莓がよく見えた。だから莓の季節には、からたちの枝を押しわけて、子供が莓盗人に這いこんだりしたが、夜になれば淋しい淋しい道で、藤堂さんの森の梟がいつもないていた。
夏目漱石の家が、泥棒に入られたのは、千駄木時代のことだったと思う。あの頃、千駄木あたりは、一体よく泥棒がいたんだろうか。藤堂さんの森をめぐるくねくねした小路は、泥棒小路と呼ばれていた。当時一仕事した連中は、何かの便利から、大抵そのうねった路を抜けて、やっちゃばの方へ出たり、田端へ出たりしたものらしい。そういう技術的な専門通路が、からたち垣の一重外を通っているのであるから、自然、うちへも何度か顔を見せぬ君子が出没した。
私が六つぐらいだった或る夏の夜、蚊帳を吊って弟たち二人はとうにねかされ、私だけ母とその隣りの長四畳の部屋で、父のテーブルのところにいた。テーブルの上にはニッケルの浮模様のある丸いランプが明るく灯っていて、雨戸はすっかり開いていた。