Japanische Klassiker mit Furigana
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きりぎりす
きりぎりす
Lesen Sie きりぎりす von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.186 Zeichen · 74 Bildschirme
私は、有りそうなことだと思います。吹出物だけは、ほんとうに、ふだんの用心で防ぐことができない、何かしら天意に依るもののように思われます。天の悪意を感じます。五年ぶりに帰朝する御主人をお迎えにいそいそ横浜の埠頭、胸おどらせて待っているうちにみるみる顔のだいじなところに紫色の腫物があらわれ、いじくっているうちに、もはや、そのよろこびの若夫人も、ふためと見られぬお岩さま。そのような悲劇もあり得る。男は、吹出物など平気らしゅうございますが、女は、肌だけで生きて居るのでございますもの。否定する女のひとは、嘘つきだ。フロベエルなど、私はよく存じませぬが、なかなか細密の写実家の様子で、シャルルがエンマの肩にキスしようとすると、(よして! 着物に皺が、――)と言って拒否するところございますが、あんな細かく行きとどいた眼を持ちながら、なぜ、女の肌の病気のくるしみに就いては、書いて下さらなかったのでしょうか。男の人にはとてもわからぬ苦しみなのでしょうか。それとも、フロベエルほどのお人なら、ちゃんと見抜いて、けれどもそれは汚ならしく、とてもロマンスにならぬ故、知らぬふりして敬遠しているのでございましょうか。