Japanische Klassiker mit Furigana
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きりぎりす
きりぎりす
Lesen Sie きりぎりす von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.186 Zeichen · 74 Bildschirme
、もし、もし、と声をかけられ、わあっと、大声発したいほどの恐怖にかられて気違いのように走りました。どろぼう! という太いわめき声を背後に聞いて、がんと肩を打たれてよろめいて、ふっと振りむいたら、ぴしゃんと頬を殴られました。
私は、交番に連れて行かれました。交番のまえには、黒山のように人がたかりました。みんな町内の見知った顔の人たちばかりでした。私の髪はほどけて、ゆかたの裾からは膝小僧さえ出ていました。あさましい姿だと思いました。
おまわりさんは、私を交番の奥の畳を敷いてある狭い部屋に坐らせ、いろいろ私に問いただしました。色が白く、細面の、金縁の眼鏡をかけた、二十七、八のいやらしいおまわりさんでございました。ひととおり私の名前や住所や年齢を尋ねて、それをいちいち手帖に書きとってから、急ににやにや笑いだして、
――こんどで、何回めだね?
と言いました。私は、ぞっと寒気を覚えました。私には、答える言葉が思い浮ばなかったのでございます。まごまごしていたら、牢屋へいれられる。重い罪名を負わされる。なんとかして巧く言いのがれなければ、と私は必死になって弁解の言葉を捜したのでございますが、なんと言い張ったらよいのか、五里霧中をさまよう思いで、あんなに恐ろしかったことはございません。