Japanische Klassiker mit Furigana
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けむりをはかぬえんとつ
けむりを吐かぬ煙突
夢野 久作
Lesen Sie けむりを吐かぬ煙突 (けむりをはかぬえんとつ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.836 Zeichen · 28 Bildschirme
今夜の十二時半キッカリに自宅の裏門でお眼にかかりましょう。おわかりになりまして……今夜の十二時半……わたくしの家の裏門……」
という未亡人自身の声がした。そうしてソレッキリ切れてしまった。
私は身内が引締まるのを感じた。
相手は何もかも知っているのだ。……ことによると明日が私の休み日になっている事までも知っているかも知れない。
そう思い思い私は充分の準備と警戒をしてコッソリとアパートを出た。
……何糞……と冷笑しながら……。
指定された通りに裏門の潜り戸から這入ると、そこいらのベンチに待っていたらしい訪問着姿の未亡人が出迎えた。無言のままシッカリと私の手を握ったので又も緊張させられた。私が時間にキチョウメンな事まで知っているらしい。
しかし恐るる事はない。誘惑するつもりなら、されても構わない。要点だけは一歩も譲らないぞ……と思いながら、夜目にも荒れ果てた庭草の間を手を引かれて行くと、森蔭のジメジメした闇の道伝いに、杉木立の中の図書館の玄関から引っぱり込まれた。そうして燈火も何もつけない短かい廊下を通り抜けると正面の真暗な室のマン中に立たされた。
そこで私の手を離した未亡人が、室の真中まで行って電燈の紐をコチンと引っぱった。