Japanische Klassiker mit Furigana
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このこをのこして
この子を残して
永井 隆
Lesen Sie この子を残して (このこをのこして) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.102 Zeichen · 203 Bildschirme
子供好きの神は、それも善しとお許しになるだろう。
カヤノが大学を卒業するまでに十六年かかる。それはけっして生易しい道ではない。科学者になるのか、画家になるのか、音楽家になるのか、修道女になるのか、家庭の母となるのか、何になれと強いもせず求めもせぬが、何にでもあれ、常に神から離れたがらぬ人であってほしい。
軒のすずめも庭におりたらしい。たのしげなすずめの会話が小さい小屋をめぐる。
やがて石だたみ路に、下駄を鳴らして駆けて来るカヤノ。おくれて歌いながら帰る誠一。朝日が射してきた。
叔母さんの心尽くしのご飯が卓の上に湯気を立てている。叔父さんも薪割りをやめて席についた。
「やあ、たい!」
大きな焼鯛がぴんと尾をはね上げている皿を見て、カヤノが目を輝かした。
「なぜ、今朝はこんなごちそうするの?」
とカヤノは、言ってもらいたいことがあって、わざわざ聞く。そこは叔母さんも抜け目がない。
「カヤちゃんの入学祝いよ」
「ウフヽヽヽヽ」とカヤノは胸を張った。
しかしうれしくてうれしくて、ご飯は一杯しか食べられない。鯛は大方兄さんに平らげられてしまった。ご飯をたべかけて、ランドセルを背負いかけて、兄さんからたしなめられた。