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Japanische Klassiker mit Furigana

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このにぎりめし

この握りめし

岸田 国士

Lesen Sie この握りめし (このにぎりめし) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.649 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

情状酌量には限度がある。この岡本の竹を割つたような性格には、なるほど一点の邪悪らしいものは感じられないけれども、その言動には、多少慎みを欠いたところがあり、社会秩序を紊る何ものかゞひそかに含まれていないでもない。思想的偏向か、それとも、心理的異常性か、なにはともあれ、警官として、これを公に是認することはできない。

「お話はよくわかりますが、あなたも気持よくこの宿に泊つていられた方がいゝんですから、主人の宿料請求に対しては、向うで納得するように、十分ご相談なすつたらどうです。場合によつては、金策のために上京される必要があるとしたら、例えば、借用証書を一札入れるとか、出来れば、相当な保証人をお立てになるとか……」

「ないですよ、そんな保証人なんか」

にべもなく言つてのける岡本の口吻に、増田は、むかむかと腹が立つた。

「じや、わしはなんにも言いません。このまゝ引きさがります。まだ正式の訴えが出てるわけじやありませんから、わしの立場としては、たゞ個人間の貸借の問題としか認めません。しかし、解決の方法がまずいと面倒なことになるかも知れませんから、その点、ご注意申しあげておきます」