Japanische Klassiker mit Furigana
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こんにゃくうり
こんにゃく売り
徳永 直
Lesen Sie こんにゃく売り (こんにゃくうり) von 徳永 直 (とくながすなお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.408 Zeichen · 15 Bildschirme
黒白斑らの、仔馬ほどもあるのが、地べたへなげだした二本の前脚に大きな頭をのっつけ、ながい舌をだしたまま眠っている。――
「今日は、こんにゃく屋でございます……」
私はそう言いたいのだが、うまく声が出ない。こいつが眼をさましたらどうしよう? しかし黙っていては女中さんは出てこぬし、こんにゃくは売れない。私は勇気をだして、犬の顔ばっかり見ながら、ふるえる声で――こんにちは――と言った。すると、果して大きな犬はすぐ眼をさました。ブルドックだか土佐犬だか、耳が小さく頬っぺたのひろがったその犬は、最初ものうそうに眼をひらいたが、みるみるうちに鼻皺を寄せて、あつい唇をまくれあがらせた。
「――こんにゃく屋でございます」
もうそのときは、叫ぶように、犬にむかって言った。怪しいもんではない、ということを知ってもらいたいために叫んだ。しかし犬にはわからなかった。う、う、と唸りながら起きあがると、毛を逆だてて、背中をふくらませて近寄ってきた。私が一と足さがると二た足寄ってくる。二た足さがると三足寄ってくる。私はもう声が出ない。重い桶をになっているから自由もきかない。私が半分泣声になって叫ぶと、とたんに犬は肝をつぶすような吠え声をあげて、猛然と跳びかかってきた。