Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さようなら
さようなら
田中 英光
Lesen Sie さようなら von 田中 英光 (たなかひでみつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.251 Zeichen · 44 Bildschirme
その為、彼は淀橋、戸塚と二つの警察を二十九日間宛のタライ廻しを食い、毎日のように拷問されたが、自分のルウズさから友人に迷惑をかけまいと、歯を食いしばり、知らぬ存ぜぬで頑張り続け、義兄の弁護士の奔走で、約二カ月目に釈放されたが、その日すぐ学校に出てきて、ぼくたち仲間と、微笑と涙の握手、談笑を交していながら、その夜、下宿の一室で前述のようにして自殺したのだ。ぼくは相不変、死体をみるのが厭で苦しかったが、この時は他の友人たちの手前、わざと嫌いな蛇を掴んでみせるような気持で、彼の死体の置かれた部屋に駆けつけていった。池田は一番苦痛のない死に方を選び、大量の睡眠剤を飲んだ上、金盥に温湯を入れ、そこに動脈を切った手首を入れたものらしい。全身の血がしぼり出されたように、血は金盥を越え畳一面に染みていた。その代り白蝋のように血の気のない彼の死顔は放心した如くのどかにみえた。だがぼくは彼の死魚のような瞳の奥に、死への焦燥と恐怖を認め、やはり死体へのどうにもならぬ嫌悪があった。その遺書には睡眠剤が利いてきてからのものらしく、シドロモドロに乱れていてこんな意味のことが書いてあった。