Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme
百も承知しているこんな事情を長吉はお糸の口からきくために質問したのでない。お糸がどうせ行かねばならぬものなら、もう少し悲しく自分のために別を惜しむような調子を見せてもらいたいと思ったからだ。長吉は自分とお糸の間にはいつの間にか互に疎通しない感情の相違の生じている事を明かに知って、更に深い悲みを感じた。
この悲みはお糸が土産物を買うため仁王門を過ぎて仲店へ出た時更にまた堪えがたいものとなった。夕涼に出掛ける賑かな人出の中にお糸はふいと立止って、並んで歩く長吉の袖を引き、「長さん、あたいも直きあんな扮装するんだねえ。絽縮緬だねきっと、あの羽織……。」
長吉はいわれるままに見返ると、島田に結った芸者と、それに連立って行くのは黒絽の紋付をきた立派な紳士であった。ああお糸が芸者になったら一緒に手を引いて歩く人はやっぱりああいう立派な紳士であろう。自分は何年たったらあんな紳士になれるのか知ら。兵児帯一ツの現在の書生姿がいうにいわれず情なく思われると同時に、長吉はその将来どころか現在においても、已に単純なお糸の友達たる資格さえないもののような心持がした。
いよいよ御神燈のつづいた葭町の路地口へ来た時、長吉はもうこれ以上果敢いとか悲しいとか思う元気さえなくなって、唯だぼんやり、狭く暗い路地裏のいやに奥深く行先知れず曲込ん