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Japanische Klassiker mit Furigana

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すみだがわ

すみだ川・新橋夜話 他一篇

永井 荷風

Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

そして知らず知らずその後を追うて仲店の尽るあたりまで来たが、若い芸者の姿は何処の横町へ曲ってしまったものか、もう見えない。両側の店では店先を掃除して品物を並べたてている最中である。長吉は夢中で雷門の方へどんどん歩いた。若い芸者の行衛を見究めようというのではない。自分の眼にばかりありあり見えるお糸の後姿を追って行くのである。学校の事も何も彼も忘れて、駒形から蔵前、蔵前から浅草橋……それから葭町の方へとどんどん歩いた。しかし電車の通っている馬喰町の大通りまで来て、長吉はどの横町を曲ればよかったのか少しく当惑した。けれども大体の方角はよく分っている。東京に生れたものだけに道をきくのが厭である。恋人の住む町と思えば、その名を徒に路傍の他人に漏すのが、心の秘密を探られるようで、唯わけもなく恐しくてならない。長吉は仕方なしに唯だ左へ左へと、いいかげんに折れて行くと蔵造りの問屋らしい商家のつづいた同じような堀割の岸に二度も出た。その結果長吉は遥か向うに明治座の屋根を見てやがてやや広い往来へ出た時、その遠い道のはずれに河蒸汽船の汽笛の音の聞えるのに、初めて自分の位置と町の方角とを覚った。