Japanische Klassiker mit Furigana
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme
長吉は同じようなその冬の今年と去年、去年とその前年、それからそれと幾年も溯って何心なく考えて見ると、人は成長するに従っていかに幸福を失って行くものかを明かに経験した。まだ学校へも行かぬ子供の時には朝寒ければゆっくりと寝たいだけ寝ていられたばかりでなく、身体の方もまたそれほどに寒さを感ずることが烈しくなかった。寒い風や雨の日にはかえって面白く飛び歩いたものである。ああそれが今の身になっては、朝早く今戸の橋の白い霜を踏むのがいかにも辛くまた昼過ぎにはいつも木枯の騒ぐ待乳山の老樹に、早くも傾く夕日の色がいかにも悲しく見えてならない。これから先の一年一年は自分の身にいかなる新しい苦痛を授けるのであろう。長吉は今年の十二月ほど日数の早くたつのを悲しく思った事はない。観音の境内にはもう年の市が立った。母親のもとへとお歳暮のしるしにお弟子が持って来る砂糖袋や鰹節なぞがそろそろ床の間へ並び出した。学校の学期試験は昨日すんで、一方ならぬその不成績に対する教師の注意書が郵便で母親の手許に送り届けられた。
初めから覚悟していた事なので長吉は黙って首をたれて、何かにつけてすぐに「親一人子一人」