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Japanische Klassiker mit Furigana

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すみだがわ

すみだ川・新橋夜話 他一篇

永井 荷風

Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

蘿月はもと小石川表町の相模屋という質屋の後取息子であったが勘当の末若隠居の身となった。頑固な父が世を去ってからは妹お豊を妻にした店の番頭が正直に相模屋の商売をつづけていた。ところが御維新この方時勢の変遷で次第に家運の傾いて来た折も折火事にあって質屋はそれなり潰れてしまった。で、風流三昧の蘿月はやむをえず俳諧で世を渡るようになり、お豊はその後亭主に死別れた不幸つづきに昔名を取った遊芸を幸い常磐津の師匠で生計を立てるようになった。お豊には今年十八になる男の子が一人ある。零落した女親がこの世の楽しみというのは全くこの一人息子長吉の出世を見ようという事ばかりで、商人はいつ失敗するか分らないという経験から、お豊は三度の飯を二度にしても、行く行くはわが児を大学校に入れて立派な月給取りにせねばならぬと思っている。

蘿月宗匠は冷えた茶を飲干しながら、「長吉はどうしました。」

するとお豊はもう得意らしく、「学校は今夏休みですがね、遊ばしといちゃいけないと思って本郷まで夜学にやります。」

「じゃ帰りは晩いね。」

「ええ。いつでも十時過ぎますよ。電車はありますがね、随分遠路ですからね。