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Japanische Klassiker mit Furigana

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すみだがわ

すみだ川・新橋夜話 他一篇

永井 荷風

Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

車の音が俄かに激しい。調子の合わない楽隊が再び聞える。乃ち銀座の大通を横切るのである。乗客の中には三人連の草鞋ばき菅笠の田舎ものまで交って、また一層の大混雑。後の降り口の方には乗客が息もつけないほどに押合い今にも撲り合いの喧嘩でも始めそうにいい罵っている。

「込み合いますから、どうぞお二側に願います。」

釣革をば一ツ残らずいろいろの手が引張っている。指環の輝くやさしい白い手の隣りには馬蹄のように厚い母指の爪が聳えている。垢だらけの綿ネルシャツの袖口は金ボタンのカフスと相接した。乗換切符の要求、田舎ものの狼狽。車の中は頭痛のするほど騒しい中に、いつか下町の優しい女の話声も交るようになった。

木挽町の河岸へ止った時、混雑にまぎれて乗り逃げしかけたものがあるとかいうので、車掌が向うの露地口まで、中折帽に提革包の男を追いかけて行った。後からつづいて停車した電車の車掌までが加勢に出かけて、往来際には直様物見高い見物人が寄り集った。

車の中から席を去って出口まで見に行くものもある。「けちけちするない――早く出さねえか――正直に銭を払ってる此輩アいい迷惑だ。」と叫ぶものもある。