Japanische Klassiker mit Furigana
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そのひとのよねんかん
その人の四年間
宮本 百合子
Lesen Sie その人の四年間 (そのひとのよねんかん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.577 Zeichen · 11 Bildschirme
それというのも、さっき一緒に来た娘さんが出征させられている婚約の人をもう六、七年まちつづけているから一層若い人々の今日の境遇を思いやってのことだという話だった。いわばあてのない人をそうして幾年も待っていても、と周囲がとやかく云いだして来ている。娘さんとしてはそれらの言葉に動かされる心持がない。母としての櫛田さんは、ぐるりの人々の親切から出る忠告をやわらかくうけながら、娘さんの一途な心をいじらしく思って、母と娘と心は一つにして婚約の人の帰るのを待っている。若い人々が戦争によって不幸になっている。その日々の気のはり、笑いの中に涙を母の実感としているのだということだった。
二
この話はわたしにつよい感銘を与えた。娘さんがひとすじに愛する人との再会を確信し、それを待っている心持、それはその頃のわたしが生きている毎日の心持そのものであった。だけれども、戦争は惨酷であり、日本中には幾千人が同じようにあつい心で待っているか知れない、その人々の生命と愛情とを保証するどんな小さい条件も約束していない。壺井栄さんの物語をきいたとき、わたしはすずんでいる夏の夜の暗さが、ひとしお濃くあたりに迫るように感じた。