Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

そのとし

その年

宮本 百合子

Lesen Sie その年 (そのとし) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.964 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

「いいか、これは重要なもんで。二階の棚にしまっておいて呉れ。お前が責任もって保管して呉れ、わかったな」

などと、トランクの整理にとりかかった。自然、お茂登親子はそこからなるたけ離れたこっちの窓際にかたまって、声も低く、

「今のうち、これ見ておき。足らんもんでもあったら、買うて来にゃならんけ」

膝の前に、持って来た風呂敷包みをひろげるのであった。

親子が初めてさし向いになったのは、夜も七時過てであった。隊に送別会があると云って永田が出かけ、弟妹たちは駅へ着く両親を迎えに行き、ひとしきり揉まれた部屋の空気がやがてしずまると、かすかに花の匂いの流れるような五月の夜気が、濃く柔かく窓外に迫った。源一は、酒気を帯びた額に明るい灯をうけながら、胸をすっかりひろげた軍服のままのあぐらの膝に片肱つき、妻楊子を歯の間で折っている。時々その顔をくしゃくしゃと動かして、鼻の下をこするような手つきをするのを見て、お茂登は、二つ折りにした座布団を押してやった。

「何ならちいと眠ったらどうで……時間を云えばおこしてやるで」

「なに、大丈夫だ」

そう云ったら気もぱっきりしたという工合で、源一は、