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Japanische Klassiker mit Furigana

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『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ

たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】

佐藤 春夫

Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】 (『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.182 Zeichen · 48 Bildschirme

Aozora Bunko

いくら待っていても左平次は帰って来ませんから、みんなは八ツ裂になっている左平次を予想しながら出かけて見ると、左平次は果してそこに倒れていましたが、幸いにも負傷一つしていないのです。

色々世話をして息を吹き返した左平次の言う所では、前夜、左平次は大木の根元へ来て待ち伏せていると、月明りの中に、大木の数々の枝に遮ぎられて何者とも分らぬものが、梢から段々下へ降りて来る気配を感じ息を殺して待っていると、或る所まで来て動かなくなって了った。

枝々の隙間から覘を定めて一発放すと、思いがけない程の凄まじい手答えがあって、そのため左平次はどしんと尻餅をつき地面へ倒れたかと思うと、落ちて来たのは何者でもなくただ笑い声であった。

左平次はそれを聴きながら恐怖の余り気が遠くなり、人々に見つけ出されるまでは死んだも同然であったという。

口の重い左平次は、どんなものを見たか、見なかったか、それも分明言いあらわさないが、それが何にしろ一通りのものでなかった事だけは、豪胆な左平次が未に恐怖の表情をしているので充分に察しられたのです。

そればかりか、左平次はその夜以後、怖ろしい、怖ろしいと言い続けて、気病みのような状態になって了った。