Japanische Klassiker mit Furigana
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たちあなひめ
たちあな姫
菊池 寛
Lesen Sie たちあな姫 (たちあなひめ) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.540 Zeichen · 21 Bildschirme
「後尾の二等室に居るのだ。」と、写真班の一人が叫んで、走り出すと、皆は風声鶴唳と云う有様で、バタ/\と下車しかけて居る乗客を押しのけながら、列車の後方を目がけて駆け出しました。私は少し馬鹿々々しくなりましたが、然し各社の連中が駆け出す以上、駆け出さない訳には行きませんでした。が、後尾の二等室を覗いて見ますと、いかにも容姿の閑雅な二十三四の外国婦人が窓から半身を出して居るのが見えました。
「やあ! タチアナ姫だ。」と、写真班の一人がこう叫び廻すと、皆はカメラを一斉にその婦人の方に差し向けました。すると、その途端、記者らしい一人の男が、
「何だ馬鹿々々しい。子供を連れて居るじゃないか。」と、云いました。よく見ると、可愛い五つばかりの娘が、その婦人の傍から、首だけ出して窓外の物々しい騒擾を、珍しげに見て居るのです。いかに、タチアナ姫が脱出に苦心をしたと云っても、過激派の眼を眩ます為に、幼児を携帯して居るなどは、想像も及ばないことでした。写真班の連中は、失望して元の一等車の方へ引き返そうとしました。その時でした。丁度一等車の前あたりで、ボーンと云う烈しいマグネシウムの爆発の音が聞えました。