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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいこん

だいこん

久生 十蘭

Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme

Aozora Bunko

舳に立った若い水兵さんが、明日降りたらもう永久に乗ることもない軍艦に、わずかなショックもあたえまいと、女も及ばないような細かいこころづかいをしながらランチを寄せて行く。

舷梯をあがり切ったところに、色の浅黒い、歯列のきれいな、眼の大きな士官が立っていて、ニコニコ笑いながらあたしに敬礼した。

「やあ、いらっしゃい」

こんな美しい語感のこもった、印象的な挨拶をまだいちども日本で聞いたことがなかった。どういうひとなんだろうと思って顔を見ていると、たれかがグイとうしろから突いたので、はずみで士官のほうへよろけて行った。気がついてみると、あたしは士官の腕の中にしっかりと抱きとめられていた。

「艦が傾しいでいるからあぶないです」

うしろでぶつぶついっている。

「どうしてあがらないの」

「だいこんが入口にふさがって通さないのよ」

見おろすと十四段の舷梯に十四人が一人ずつとまって、いっせいに上を見あげている。悪く思うな、いま〈海軍〉と抱擁していたんだ。あたしが身体をどけると、それでみながようやく甲板へあがってきた。

士官はひとりひとりに、やあ、ようこそとお愛想をいってから、ひとまとめにしてオゥニングのあるひろびろとした艦首のほうへ連れて行った。