Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Lesen Sie ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.196 Zeichen · 169 Bildschirme
野州塩原の秋は、塩原じゅうの人の顔が赤くなると云われているが、そう云うひと色に染まる紅葉も美観ではあるけれども、ここのようなのも悪くはない。「繚乱」と云う言葉や、「千紫万紅」と云う言葉は、春の野の花を形容したものであろうが、ここのは秋のトーンであるところの「黄」を基調にした相違があるだけで、色彩の変化に富むことはおそらく春の野に劣るまい。そうしてその葉が、峰と峰との裂け目から渓合いへ溢れ込む光線の中を、ときどき金粉のようにきらめきつつ水に落ちる。
万葉に、「天皇幸于吉野宮」とある天武天皇の吉野の離宮、―――笠朝臣金村のいわゆる「三吉野乃多芸都河内之大宮所」、三船山、人麿の歌った秋津の野辺等は、皆この宮滝村の近くであると云う。私たちはやがて村の中途から街道を外れて対岸へ渡った。この辺で渓はようやく狭まって、岸が嶮しい断崖になり、激した水が川床の巨岩に打つかり、あるいは真っ青な淵を湛えている。うたたねの橋は、木深い象谷の奥から象の小川がちょろちょろと微かなせせらぎになって、その淵へ流れ込むところに懸っていた。義経がここでうたたねをした橋だと云うのは、多分後世のこじつけであろう。