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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんきんしょう

ちくま日本文学014 谷崎潤一郎

谷崎 潤一郎

Lesen Sie ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.196 Zeichen · 169 Bildschirme

Aozora Bunko

それに何と云っても母は関西の女であるから、東京の町では彼女に似通った女に会うことが稀だけれども、大阪にいると、ときどきそう云うのに打つかる。母の生い育ったのはただ色町と云うばかりで、いずこの土地とも分らないのが恨みであったが、それでも彼は母の幻に会うために花柳界の女に近づき、茶屋酒に親しんだ。そんなことから方々に岡惚れを作った。「遊ぶ」と云う評判も取った。けれども元来が母恋いしさから起ったのに過ぎないのだから、一遍も深入りをしたことはなく、今日まで童貞を守り続けた。

こうして二三年を過すうちに祖母が死んだ。

その、祖母が亡くなった後のある日のことである。形見の品を整理しようと思って土蔵の中の小袖箪笥の抽出しを改めていると、祖母の手蹟らしい書類に交って、ついぞ見たことのない古い書付けや文反古が出て来た。それはまだ母が勤め奉公時代に父と母との間に交された艶書、大和の国の実母らしい人から母へ宛てた手紙、琴、三味線、生け花、茶の湯等の奥許しの免状などであった。艶書は父からのものが三通、母からのものが二通、初恋に酔う少年少女のたわいのない睦言の遣り取りに過ぎないけれども、互に人目を忍んでは首尾していたらしい様子合いも見え、殊に母のものは「………おろかなりし心より思し召しをかえりみず文さし上候こなた心少しは御汲分け……