Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Lesen Sie ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.196 Zeichen · 169 Bildschirme
彼はその血だらけになって砕け飛んだ人形の足を師匠に請うて貰い受け真綿にくるみ白木の箱に収めて、時々取り出しては慈母の霊前に額ずくがごとく礼拝した「この人形の折檻がなかったら自分は一生凡々たる芸人の末で終ったかも知れない」としばしば泣いて人に語った。先代大隅太夫は修業時代には一見牛のように鈍重で「のろま」と呼ばれていたが彼の師匠は有名な豊沢団平俗に「大団平」と云われる近代の三味線の巨匠であったある時蒸し暑い真夏の夜にこの大隅が師匠の家で木下蔭挟合戦の「壬生村」を稽古してもらっていると「守り袋は遺品ぞと」というくだりがどうしても巧く語れない遣り直し遣り直して何遍繰り返してもよいと云ってくれない師匠団平は蚊帳を吊って中に這入って聴いている大隅は蚊に血を吸われつつ百遍、二百遍、三百遍と際限もなく繰り返しているうちに早や夏の夜の明け易くあたりが白み初めて来て師匠もいつかくたびれたのであろう寝入ってしまったようであるそれでも「よし」と云ってくれないうちはと「のろま」の特色を発揮してどこまでも一生懸命根気よく遣り直し遣り直して語っているとやがて「出来た」