Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Lesen Sie ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.196 Zeichen · 169 Bildschirme
取り分け自分はお師匠様の三味線の妙音を、失明の後に始めて味到したいつもお師匠様は斯道の天才であられると口では云っていたもののようやくその真価が分り自分の技倆の未熟さに比べて余りにも懸隔があり過ぎるのに驚き今までそれを悟らなかったのは何と云うもったいないことかと自分の愚かさが省みられたされば自分は神様から眼あきにしてやると云われてもお断りしたであろうお師匠様も自分も盲目なればこそ眼あきの知らない幸福を味えたのだと。佐助の語るところは彼の主観の説明を出でずどこまで客観と一致するかは疑問だけれども余事はとにかく春琴の技芸は彼女の遭難を一転機として顕著な進境を示したのではあるまいか。いかに春琴が音曲の才能に恵まれていても人生の苦味酸味を嘗めて来なければ芸道の真諦に悟入することはむずかしい彼女は従来甘やかされて来た他人に求むるところは酷で自分は苦労も屈辱も知らなかった誰も彼女の高慢の鼻を折る者がなかったしかるに天は痛烈な試練を降して生死の巌頭に彷徨せしめ増上慢を打ち砕いた。思うに彼女の容貌を襲った災禍はいろいろの意味で良薬となり恋愛においても芸術においてもかつて夢想だもしなかった