Japanische Klassiker mit Furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lesen Sie とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.729 Zeichen · 371 Bildschirme
それを聞きつけた気の利いた用心深い私服巡査の一人が、近寄ってバチバチと手を拍いた。すると「歌姫」は瞬間唄い止んで、暫く疑ぐるような沈黙をみせたが、直ぐに安心したように再び悩ましげに唄いはじめた。巡査はもう一度拍手を送った。今度は直ぐにアンコールだ。再び拍手。そしてアンコール。果ては笑声さえ洩れだして、二人の距離はだんだん縮まり、案外わけなく捕えられてしまった。
女の着物を着た「歌姫」が、自動車でステージならぬ警察へ連行されて来ると、司法主任は勇躍して訊問にとりかかった。が、直ぐにその相手が、到底自分の手におえられるようなただの代物でないことに気のついた司法主任は、松永博士のところへ電話を掛けた。
博士は、病院を退けてから、見舞いかたがた赤沢脳病院へ出向いていたが、主任の電話を受けると直ぐに来てくれた。そして事情を聞きとると、真先に「歌姫」を捕えた警官の機智を褒め上げた。
「いや大変結構でした。とにかくこう云う人達を扱うには、決して刺戟を以ってしてはいけません。柔かく、真綿で首を締めるように、相手と同じレベルに下って、幼稚な感情や思索の動きに巧にバツを合せて行かなければいけません」