Japanische Klassiker mit Furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lesen Sie とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.729 Zeichen · 371 Bildschirme
「ははあ」
と東屋氏はいずまいを改めて、
「いや、随分いい眺望ですなあ」
「お気に召しましたか?」
洋吉氏が口を入れた。
「いや、全く美しいです。こんな美しい海岸でしたら、穢い泡などが浮き溜っているようなところはないでしょうなあ?」
すると洋吉氏は、
「いや。ところがあるんですよ」
と窓の外を指差しながら、「ほら、あそこに、静かな内湾のこちらに、妙に身を曲ねらした、処々に禿山のある岬が見えますね。あの岬は鳥喰崎と呼ばれていますが、あの先端の向う側が、一寸鉤形に曲っていて、そこに小さなよどみと云いますか、入江になった吹き溜りがあります。その吹き溜りには、濃い茶褐色の泡が平常溜っています……去年の夏水泳をしながらあの中へはまり込んで、随分気味の悪い思いをしましたから、よく覚えていますよ」
「ああそうですか。……時に貴方は、大変チョコレートがお好きだそうですな?」
このぶっきら棒な質問には、明かに洋吉氏も驚いたと見えて、複雑な表情をして東屋氏を見返した。
「ああ、いや」と東屋氏は妙な独り合点をしながら、「実は今朝、ヨットの中にチョコレートのチューブがあったそうですので、私はまた、貴方が昨晩……」