Japanische Klassiker mit Furigana
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どこかでよぶような
どこかで呼ぶような
小川 未明
Lesen Sie どこかで呼ぶような (どこかでよぶような) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.361 Zeichen · 7 Bildschirme
運動場の水たまりに、白い雲のかげがうつる秋のころでした。彼の家がひっこすので、転校しなければならぬといって、みんなに別れをつげました。その後、わたくしは、ときどき、鈴木くんのことを思いだしたが、いま、そのすがたを見るのです。彼は新しいぼうしをかぶり、手に、大きな買い物のつつみをかかえていました。そして、なんとなく、幸福そうでした。
「きっと、おとうさんがぶじに帰られたのだろう。」
わたくしは、どうか、そうであってくれればいいと思いました。じき、彼のすがたは、人ごみの中にまぎれて、見えなくなりました。
「おじさんは、戦争へは、いかなかったの。」と、わたくしは、聞きました。
「いかぬことがあるものか、六年近くもいって、やっと、このあいだ帰ってきたのさ。るすに家は焼け、親類にあずけておいた妹は、ゆくえがわからなくなって、かわいそうだよ。」
おじさんの声は、かすれました。
「かわいそうだね、まだ小さかったの。」
「でかけるとき、たしか十一ぐらいにしかならぬから、ぶじでいてくれれば、いま十七になるはずだ。だから、ずいぶん大きくなって、ちょっとあっても、こちらではわかるまいが、おれのほうは、そうかわるまいから、妹が見つければ、わかるにちがいない。