Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どぶろくげんそう

どぶろく幻想

豊島 与志雄

Lesen Sie どぶろく幻想 (どぶろくげんそう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.452 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

「アジアの憂鬱、埋めましょう。」

それも、果して二人の対話だったかどうか。

俺は木箱を周さんに渡した。周さんは木箱を穴に投げこんで、俺には全然意味も感情も通じない言葉を呟いた。それから鍬で穴を埋めた。地均しをして、草を分けて道に出た。へんに気がせいて、ゆっくりしておられない思いだった。道に出てほっとした。

黙々として真直に歩いた。後を振り向きもしなかった。

周さんは家の戸を引き開け、俺がはいると、戸締りをしてしまった。俺を帰らせないつもりかも知れない。

周さんは裏の方へ行った。手足を洗う水音がして、靴ではなく、下駄をつっかけて戻って来た。

「ああ、これですっかり済んだ。」

独語のように言って、俺に軽く頭を下げた。

炭火を盛んにおこし、濁酒を熱くして飲み、煙草をふかして、二人で顔を見合せたが、なんだか、夢から覚めたような白々しさで、そして胸うちに淋しい空虚があった。

「張さんも、君の好きなようにするがいいと、言いました。前から考えていたことです。」

俺が何も尋ねないのに、周さんはそんなことを言った。

「そして、どうなの。」

「さっぱり、気が済みました。」

あんながらくたな品物ばかりで……。