Japanische Klassiker mit Furigana
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どぶろくげんそう
どぶろく幻想
豊島 与志雄
Lesen Sie どぶろく幻想 (どぶろくげんそう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.452 Zeichen · 21 Bildschirme
それが却って遠慮ない態度に見えた。
「あんた、いいところへ来ました。もう、どぶろくも無くなりかけた。今晩、飲んでしまいましょうや。」
ばかなことを言ってる。無くなったら、新たに仕入れすればいいじゃないか。周さんももう酔ってるようだった。それでいて、濁酒のお燗なんか自分でしていた。
「つねちゃんは……。」
つねちゃんという若い女中がいたはずだ。
「暇をだしましたよ。今は、わたし一人きり。」
俺はあたりを見廻した。千代乃さんはどうしたんだろう。
「千代乃さんは、また出かけたの。」
「千代乃……もうわたし、諦めています。死んだ者は仕方ない。」
「死んだ者……。とぼけちゃいかんね。さっき僕は、そこで逢ったんだから。」
周さんは腰を浮かした。じっと俺の顔を眺めた。
「あんた、なにも知らないんですか。」
俺はへんな気持ちで、周さんの顔を窺った。
周さんは突然、すっかり立ち上って、俺の腕を捉えた。
「千代乃に逢った……ほんとに逢いましたか。」
「逢ったとも。あっちの、焼跡のところで……そして、一緒に、ここへ来たはずだが……。」
「たしかに千代乃ですか。」
間違いはなかった。言葉まで交わしたのだ。