Japanische Klassiker mit Furigana
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なつかしまれたひと
なつかしまれた人
小川 未明
Lesen Sie なつかしまれた人 (なつかしまれたひと) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 5.245 Zeichen · 11 Bildschirme
そして、みんなからも、だんだん忘れられていこうとしました。
かれこれ一年ばかりもたってからのことです。会社で働いている一人の若者が、ある日、町から五里ばかり、東の方へ離れている街道を貨物自動車で通ってくると、勘太じいさんが、ここに働いていた時分のようすそっくりで、とぼとぼと街道を歩いているのを見たといいました。
おじいさんを知っている人々は、この話をきくと目をみはりました。
「それは、人違いだろう……。おじいさんは、息子が迎えにきて、新しい着物にきかえて帰ったのだから、また昔のようすにかえるというはずがない。」と、あるものはいいました。
「いいや、勘太じいさんに相違ない。俺は、よほど、自動車を停めて、声をかけようと思ったが、急いでいたものだから、つい残念なことをしてしまった。」
「おじいさんを見て、自動車を停めないということがあるものか?」
「しかし、おじいさんなら、困れば、またここへやってくるにちがいない。」
「いや、ああしていったん帰ったのだから、きまりわるがっているのかもしれない。人間の運命というものは、いつまたどんな境遇にならないともかぎらないからな。