Japanische Klassiker mit Furigana
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はたしじょう
はたし状
山本 周五郎
Lesen Sie はたし状 (はたしじょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.525 Zeichen · 39 Bildschirme
英之助は眼を大きく瞠り、唇をひき緊め、ぎゅっと拳を握った。しかしすぐに冷笑をうかべ、こちらを憐れむような調子でいった。
「――いい気なものだ」
そして駆けるように立去った。
それから間もなく、半刻も経たないうちに八木千久馬が来た。彼は第二が出てゆくのを待ちかねるように、御文庫の廂まではいって来て、それからまた一緒に庭へ出た。……そのくせなにか云いかねるふうで、幾たびも話しだそうとしてはやめ、溜息をついたり、意味の知れない手振りをしたりした。
「――どうしたんだ、なにかあったのか」
「云いたくないんだが」
千久馬は不決断に呟いた。そのとき第二は、――どういう連想作用かわからないが、――ふと江戸で貰った彼の第一信の、書きだしの文句を思いだした。
――この手紙を出そうかどうしようかと、ずいぶん迷った。
そしてそれに続けて、英之助としのとの事を知らせたのである。云いたくないんだが、という今の彼の言葉も、おそらくそのあとになにか悪い知らせがあるに違いない。第二は苛々した。
「云わずに済むことなら聞かなくてもいいよ」
「――そうしたいんだ、したいんだが」
千久馬はそこで思い惑ったように、眼をあげてこっちを見た。