Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

はたしじょう

はたし状

山本 周五郎

Lesen Sie はたし状 (はたしじょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.525 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

不意をつかれたが、第二はそれほど意外ではなかった。……こちらを見る英之助の眼は静かで、おちついた沈着な色をしていた。第二はきわめて自然に微笑がうかんだ。

「あんまり遅いんでこれを迎えに来たんだ」

英之助はなに事もなかったような声で、そう云った。それから第二が坐るのを待って、「さっぱりして呉れたかい」

第二は云いように困った。それで、そこにあるはたし状を取って、行燈の火をつけ、燃えだすのを火桶の上へ差出した。そしてその小さな焔を眺めながら、「これが救いの神になったというのは、いかにも皮肉すぎる」

「こういうものは本気で書くからね」

第二は頭を垂れて頷いた。英之助には彼の気持がよくわかるらしい、「いやな事はみんな忘れるんだ、なにもかも」そう云いかけて、燃え尽きようとするはたし状の煙に咽せたものか、咳をしながらつと顔を脇へ向けた、「――もちろん、千久馬のこともだよ、彼のことは彼に任せておけばいい」

こんども第二は頷いただけだった。これでいい、なにも足りないものはない、礼は云いたいがその必要もないだろう、――有難う英さん。すっかり灰になったのを火箸で崩しながら、第二は心のなかでそう呟いた。