Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとりすもう
ひとりすまう
織田 作之助
Lesen Sie ひとりすまう (ひとりすもう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.706 Zeichen · 40 Bildschirme
それで、もう帰えろうと思ったが、宿に帰えっても仲々寝つかれないことが分っているので、腰を上げる気はしなかった。といって、帰えらぬ訳には行かぬ。いつ迄も夜更けの浜でじっとしている気もなかったのだが、腰を上げるという簡単な動作の弾みがつかない、そんな状態だった。
と、漁火の一つが、動き出した。静かに辷って行く灯を眼で追っていると、小さな浮島の陰に隠れてしまった。やがて、浮島の反対側の端から姿を現わすだろう、そうしたら、宿に帰えろう、とぼくは決めた。そして、漁火の速度で浮島の大きさを割る計算を始めた。割り出された時間が過ぎたが、漁火は姿を見せなかった。何故姿を現わさないのかと妙に不安になった。宿に帰えれなくなった、と思った。恐らく、漁火は、島の陰で止っていたのだろうが、そんなことに気が付く余裕が無かった。自分の計算が疑わしくなった、と同時にもう帰えれないと決めてしまったのだ。孤独というものが感覚的に来るのは、こう言う時だろう。恐らくぼくは随分情けない顔をしていた事と思う。その泣き面のまま、ふと首を傾むけると、その女の姿が眼にはいったのだ。
黒っぽい着物を着て、半町ほど離れた波打際に、すくっと立っていた。