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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひどいけむり

ひどい煙

久生 十蘭

Lesen Sie ひどい煙 (ひどいけむり) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.064 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

そのとき、田付四郎兵衛は、ほとほと愛憎をつかして、

「オランダ人どもは、御忠節の、御奉公筋のと、しおらしいことを吐かしておるが、これで底が知れた」

と苦りきった顔でいった。

こういう次第で、カロンの愚かな臼砲は、御鉄砲御用衆から、あっさりと見離されてしまったが、こうなるまでには、オランダ人の側にも、言い知れぬ辛い事情があったのである。

寛永十五年の正月、島原の乱のとき、そのときの商館長クッケルバッケルが幕府から督促をうけて、原城の攻撃に参加することになり、館員の一人だったフランシスカス・カロンがデ・リィプ号に乗って、出丸の砲撃を指揮した。

原城の出丸は、鴨の首のかたちに海に突きだした尾崎の突端、裾通りに狭い細谷をへだてたむこうの松林の中にあり、橋本左京というのが出丸の大将で、千人ばかりで守り、鍋島信濃の軍勢が攻め口をとっていた。

はじめのうち、カロンはデ・リィプ号の甲板から小さな五ポンドの旋回砲で砲撃していたが、出丸に立籠っている女や子供は、恐れるようすもなく、

「サンチャゴ(南無八幡というほどの意)」

と口々に叫びながら、出丸の馬出しから細谷の浦へおり、足るほどに磯草を採ったり、磯辺に跪いてパーテル・ノステルの祈祷を唱えたりする。