Japanische Klassiker mit Furigana
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ひなゆうはん
ひな勇はん
宮本 百合子
Lesen Sie ひな勇はん (ひなゆうはん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.468 Zeichen · 25 Bildschirme
斯うして新橋におろされた私は久しぶりでせわしい目まぐるしい様子を見ながらもお妙ちゃんの事を思わずには居られなかった。家に帰った。すぐ私はお妙ちゃんのところへわざわざきれいなのをそろえて手紙を出した。細い細い心書きで書いて三ひろほどもそれを私は目を涙でひからせて投げ込んだ。五日立った日に返事が来た。クモのあの銀色の糸のおののきの様なかすかにはかなくそして又ないほど美くしい――、そうした気持のする返事であった、字一字の間にもあの赤い色と白粉の香りはしみ込んで居る様に思われた。四日にあげず手紙をやりとりして居た。時には只一輪なでしこを封じ込めたのもあった。時には読みつかれるほど書いたのもあった。どれでも、どんなんでも皆私にはこの上なくうれしいたよりであった。
今年の秋の淋しさと云ったら――私はまるで病んで居る様に只淋しい気持が自分で可愛そうな様になった、それでも遠くに分れて居る私達は思ったまんまを手紙に書いてはなぐさめあって居た。十月十一月十二月正月二月これだけの月は淋しい思いをしながらも手紙はお妙ちゃん自身で書いたものを見る事が出来た。二月二十八日頃私が手紙を出したのに返事がなく又五日ほど立って一通出した。