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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふるさとによするさんか

ふるさとに寄する讃歌

坂口 安吾

Lesen Sie ふるさとに寄する讃歌 (ふるさとによするさんか) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.184 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

長女に結婚の話が持ち上っていた。その心配で、姉は病を忘れがちだった。私は煙草を何本もふかした。姉は私にマッチを擦った。姉は私の吸いがらを掌にのせて、長くそれをもてあそんでいた。夢に植物を見ると姉は語った。

「お前のために素敵な晩餐会を開きたい……」

その言葉を、姉は時々くり返した。私は、ルイ十四世が、かつて開いた宴会の献立を、姉に語った。姉は山毛欅の杜で食事をしたことがあったと語った。虚勢を張って、二人はいつまでも、空々しい夢物語をつづけた。毎日病院を訪れることを約束した。子供達の見えない日には、私が病院に泊まることを約束した。

雪国の真夏は、一種特別の酷暑を運んだ。ひねもす無風状態がつづいた。そのまま陽が落ちて、夜も暑気が衰えなかった。姉はしきりに氷を摂った。窓の外に、重苦しく垂れている無果花の葉があった。それに月が落ちていた。姉はそれに水を撒いた。

数日の中には、流石に一人知り人に出会った。二三の立ち話を交えて、笑うこともなく、別れた。又一人会った。彼は年老いた車夫だった。私に、車に乗ることを、しきりにすすめた。私をのせて、車は日盛りに石のある道を廻転した。