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Japanische Klassiker mit Furigana

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まかないのぼう

まかないの棒

黒島 伝治

Lesen Sie まかないの棒 (まかないのぼう) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.538 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

「これがまかないの棒じゃ?」

「ははははは……」労働者達は、一時にどっと笑い出した。

京一は、眼が急にかっと光ったように思った。すると、それから頭の芯がじいんと鳴りだした。痛みが頭の先端から始まって、ずっと耳の上まで伝ってきた――皆は、まだ笑っている。急に、泣きたいと思わぬのに涙が出て来た。彼は、涙を他人に見られまいとして、俯向いて早足にそこを去った。そして、醤油を煮ている釜の傍の大きな煉瓦の煙突の下に来た。涙は、なおつづいて出た。すると悲しくてたまらなくなって来た。顔を煙突につけると、煉瓦は中を通る煙の熱で温くなっていた。頭がずきんずきん痛んだ。手を触れると、丁度てっぺんが腫れ上っていた。

彼は煙突の方に向いて両手で顔を蔽うて泣いた。

仕事が始る時、従兄がやって来て、

「阿呆が、もっと気を付けい!」と云った。

併し、京一は、それを聞いていなかった。彼は、何故か自分一人が馬鹿にせられているようで淋しく悲しかった。

「もうこんなとこに居りゃせん!」

彼は、涙をこすりこすり、手拭いで頬冠りをして、自分の家へ帰った。皆の留守を幸に、汚れている手足も洗わずに、蒲団の中へもぐり込んだ。