Japanische Klassiker mit Furigana
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みちのき
みちの記
Lesen Sie みちの記 (みちのき) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.251 Zeichen · 15 Bildschirme
その頃より六郎酒色に酖りて、木村氏に借銭払わすること屡々なり。ややありて旅費を求めてここを去りぬ。後に聞けば六郎が熊谷に来しは、任所へゆきし一瀬が跡追いてゆかんに、旅費なければこれを獲ぬとてなりけり。酒色に酖ると見えしも、木村氏の前をかく繕いしのみにて、夜な夜な撃剣のわざを鍛いぬ。任所にては一瀬を打つべき隙なかりしかば、随いて東京に出で、さて望を遂げぬ。その折の事は世のよく知る所なれば、ここにはいわず。臼井六郎も今は獄を出でたり。獄中にて西教に傾きたりといえば、彼コルシカ人の「ワンデツタ」に似たる我邦復讐の事、いま奈何におもうらん。されど其母殺したりという人は、安き心もあらぬなるべし。きょうは女郎花、桔梗など折来たりて、再び瓶にさしぬ。
二十五日、法科大学の学生なる丸山という人訪いく。米子の滝の勝を語りて、ここへ来し途なる須坂より遠からずと教えらる。滝の話は、かねても聞きしことなれど、往て観んとおもう心切なり。
二十六日、天陰りて霧あり。きょうは米子に往かんと、かねて心がまえしたりしが、偶々信濃新報を見しに、処々の水害にかえり路の安からぬこと、かずかず書きしるしたれば、最早京に還るべき期も迫りたるに、ここに停まること久しきにすぎて、思いかけず期に遅るることなどあらんも計られずと、危ぶみおもいて、須坂に在り