Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
Lesen Sie めおと蝶 (めおとちょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.977 Zeichen · 47 Bildschirme
――少なくとも今のは本気だった。
信乃はこう思い、だが知也はどんなばあいにも、本気でぶっつかっていたということを追想した。……その夜半のことであるが、寝所で良平は信乃にあやまった、乱暴なことをして悪かったというのである。
「役目のことでむずかしい問題が起っている、気持が少しもおちつかない、苛々していたのでついあんなことを云ったのだ、しかし、……いや悪かった、忘れて呉れ」
良平はこちらへ手を伸ばした。けれども信乃は黙って反対のほうへ寝返った。
上村の縁談は井巻国老から出たものであった。そのとき信乃がどうして断われなかったのか、まだ生きていた父も、母も兄も強制はしなかった。しかも信乃は承諾したのである。……青井河畔の夜の出来事が、信乃には罪のように感じられていた。そのときの一瞬の戦慄に似た深い感覚の歓びは、憚り隠すべきもの、不道徳なもの、受けてはならぬもの、恥ずべきものというふうに思えた。おそらくそういう意識が、上村との縁談を承知させたのであろう。慥かに、承諾の返辞をしたあとでは、ながいあいだの精神的緊張から解放されたかのように、静かに心のやすらいだのを覚えている。