Japanische Klassiker mit Furigana
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めくらぞうし
めくら草紙
Lesen Sie めくら草紙 (めくらぞうし) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.695 Zeichen · 14 Bildschirme
よき薫物たきて一人臥したる。唐鏡の少しくらき見いでたる。云々。」私、自分の言葉を織ってみる。「目にはおぼろ、耳にもさだかならず、掌中に掬すれども、いつとはなしに指股のあひだよりこぼれ失せる様の、誰にも知られぬ秘めに秘めたる、むなしきもの。わざと三円の借銭をかへさざる。(われは貴族の子ゆへ。)ましろき女の裸身よこたはりたる。(生きものの、かなしみの象徴ゆへ。)わが面貌のたぐひなく、惜しくりりしく思はれたる。おまつり。」もう、よし。私が七つのときに、私の村の草競馬で優勝した得意満面の馬の顔を見た。私は、あれあれと指さして嘲った。それ以来、私の不仕合せがはじまった。おまつりが好きなのだけれども、死ぬるほど好きなのだけれども、私は風邪をひいたといつわり、その日一日、部屋を薄暗くして寝るのである。
ああ、それで何枚になった?(私はお隣りのマツ子ということし十六になる娘に、私の独白を筆記させていたのである。)マツ子は、人差し指の先を嘗めて、一枚二枚三枚四枚、それから、ひいふうみい三行です、と答えた。もう、いいのだ。ありがとう。マツ子から五枚の原稿用紙を受けとり、一枚に平均、三十箇くらいずつの誤字や仮名ちがいを、腹を立てずに、ていねいに直して行きながら、私は、たった五枚か、とげっそりしていた。