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Japanische Klassiker mit Furigana

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もうぐんびはいらない

もう軍備はいらない

坂口 安吾

Lesen Sie もう軍備はいらない (もうぐんびはいらない) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.258 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

「まだ弁当食ってねえや」

ほかの通行人たちの顔を見まわしてニヤリと笑って言やアがった。この時は薄気味わるかったね。オレがまだこの通行人ほど正直でないような気がして、そこまで正直にさせないと気がすまないような戦争という飛んでもないデカダン野郎に重ね重ねのウラミツラミがよみがえったようだった。しかし、そういうことにシゲキされていくらか理性だか正気のようなものの影がさしてハッとすることがあったけれども、すぐ目の前で小さなバクダンの筒に頭を砕かれて大の字にひッくり返って死んだ人間については全然無感動であったと云ってよい。雨に打たれて誰かが死んだ。それがオレでなかっただけの話にすぎないのである。

小平某という奴があの最中に女の子を強姦しては殺していたという。あの最中に人を殺すとは妙な奴だ。つまり、人を殺すという良心――人を殺して自分の生きのびる手段にしようという尋常な良心が、まだ麻痺しないでノルマルに動いていたらしいや。

一時間後には自分がどうなるか分りやしないということが唯一の人生の信条となりきっていた筈のあの最中に、自分の罪を隠すために人を殺すというような平常の心がチャンと時計のように動いているのは異常なことさね、あの場合に於てはまさに驚くべき良心だね。