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Japanische Klassiker mit Furigana

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もののかげ

ものの影

豊島 与志雄

Lesen Sie ものの影 (もののかげ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.794 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

単に好奇心からの推理だけだとは言えないものがあった。彼の表情を注視する者があったら、何等かの疑念を懐かないとは限らなかった。

捜査の手は伸びてるに違いなかった。少年の身元も詳しく洗われたことだろう。死体は解剖に附されたろう。そしてあの石には、彦一の指紋が残ってた筈だ。何か些細な遺留品でもありはしなかったろうか。あの時のことを瞥見した人目はなかったであろうか。

あの夜、彦一はしたたか酔っていた。その上にまた飲んだ。酔ってるのは珍らしくないとしても、あの夜は少しひどすぎた。そして深夜の帰宅。どこをどう歩き廻ったのか、自分でもよく覚えていなかった。アリバイは困難だろう。

然し、彦一自身は、冷静に反省してみても、あのことに対してさほど自責の念を覚えてるわけではなかった。

あれは、殺人ではない、と彼は感じた。また、彼は自殺幇助を罪悪だとは認めなかったが、あれは自殺幇助でさえもない、と彼は感じた。それならば、あれはいったい何だったのか。忌わしいものに対する嫌悪、憎悪、それだけではなかったか。そして、そういう感情も、それに伴う半無意識な行動も、人間に許されてる正当な権利ではないか。