Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆずゆ
ゆず湯
岡本 綺堂
Lesen Sie ゆず湯 (ゆずゆ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.255 Zeichen · 27 Bildschirme
お玉さんの気ちがいということは町内に隠れもない事実であったが、その原因は誰にも判らなかった。しかし別に乱暴を働くというのでもなく、夏も冬も長火鉢のまえに坐って、死んだようにふさいでいるかと思うと、時々だしぬけに破れるような大きい声を出して、誰を相手にするともなしに「なんでえ、畜生、べらぼう、百姓」などと罵りはじめるのであった。兄の徳さんも近頃は馴れたとみえて、別に取り鎮めようともしない。気のおかしい妹一人に留守番をさせて、平気で仕事に出てゆく。近所でも初めは不安に思ったが、これもしまいには馴れてしまって別に気に止める者もなくなった。
お玉さんは自分で髪を結う、行水をつかう、気分のいい時には針仕事などもしている。そんな時にはなんにも変わったことはないのであるが、ひと月か二月に一遍ぐらい急にむらむらとなって、例の「畜生、べらぼう」を呶鳴り始める。それが済むと、狐が落ちたようにけろりとしているのであった。気ちがいというほどのことではない、一種のヒステリーだろうと私は思っていた。気ちがいにしても、ヒステリーにしても、一人の妹があの始末ではさぞ困ることだろうと、わたしは徳さんに同情した。