Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆずゆ
ゆず湯
岡本 綺堂
Lesen Sie ゆず湯 (ゆずゆ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.255 Zeichen · 27 Bildschirme
長左衛門さんも死んだ。今生き残っているのは建具屋のおじいさん一人であった。
三
わたしの家では父が死んだのちに、おなじ露地のなかで南側の二階家にひき移って、わたしの家の水口がお玉さんの庭の板塀と丁度むかい合いになった。わたしの家の者が徳さんと顔を見あわせる機会が多くなった。それでも両方ながら別に挨拶もしなかった。その時はわたしが徳さんの清元を聴いてからもう四、五年も過ぎていた。
その年の秋に強い風雨があって、わたしの家の壁に雨漏りの汚点が出た。たいした仕事でもないから近所の人に頼もうということになって、早速徳さんを呼びにやると、徳さんはこころよく来てくれた。多年近所に住んでいながら、わたしの家で徳さんに仕事を頼むのはこれが初めてであった。わたしはこの時はじめて徳さんと正面にむき合って、親しく彼と会話を交換したのであった。
徳さんはもう四十を三つ四つ越えているらしかった。髪の毛の薄い、色の蒼黒い、眼の嶮しい、頤の尖った、見るから神経質らしい男で、手足は職人に不似合いなくらいに繊細くみえた。紺の匂いの新しい印半※をきて、彼は行儀よくかしこまっていた。