Japanische Klassiker mit Furigana
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ようかづきのばん
ようか月の晩
宮本 百合子
Lesen Sie ようか月の晩 (ようかづきのばん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.070 Zeichen · 7 Bildschirme
そよりともしない黒地の闇の上には、右から左へ薄白く夢のような天の河が流れています。光った藁のような金星銀星その他無数の星屑が緑や青に閃きあっている中程に、山の峰や深い谿の有様を唐草模様のように彫り出した月が、鈍く光りを吸う鏡のように浮んでいます。白鳥だの孔雀だのという星座さえそこにはありました。凝っと視ていると、ひとは、自分が穢い婆さんの部屋にいるのか、一つの星となって秋の大空に瞬いているのか、区別のつかない心持になるのでした。
お婆さんを見かけたものはありません。
併し、毎月、八日の月が丁度眼鏡の半かけのような形で、蜘蛛の巣越しにお婆さんの窓を照す夜になると、黒天鵞絨の垂幕の面は、さも嬉しそうに活気づきました。
赤や黄色の星どもは、布の上からこぼれ落ちそうに燦きます。仮睡んでいた月は静かに一廻りして皎々と照り出します。いつか出て来たお婆さんはその中で、楽しそうに美しい絹糸を巻き始めました。三匹の鼠は三つの処に分れて立ち、糸車のように体の囲りでクルクルかせを走らせながら、お婆さんの手伝いをします。そんな時、金剛石のような光りの尾を引いた流星達は、窓の外まで突ぬけそうな勢で、垂幕の端から端へと滑りました。