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Japanische Klassiker mit Furigana

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わがごがつ

わが五月

宮本 百合子

Lesen Sie わが五月 (わがごがつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 905 Zeichen · 2 Bildschirme

Aozora Bunko

ねっとりした緑の街路樹、急に煉瓦色のこまやかな建物の正面。車道を辷るシトロエンが夢のようなレモン色だ。女の赤い帽子、総ての色調を締める黒の男性散策者。

人は心を何ものかにうばわれたように歩く。……歩く。葉巻の煙、エルムの若葉の香、多くの窓々が五月の夕暮に向って開かれている。

やがて河から靄が上る。街燈が鉄の支柱の頂で燐を閃めかせ始める。ほんの一とき市民の胸を掠めるぼんやりした哀愁の夜が、高架鉄橋のホイッスラー風な橋桁の間から迫って来た。

そういう黄昏、一つの池がある。ふちの青草に横わって池を眺めると、水の上に白樺の影が青く白く映っていた。花咲かぬ水蓮も浮いている。白鳥が一羽いる。むこうの丸木橋の下にいたが、こちらへ向いて泳いでいた。眠たい水が鋼色にひろがる。青草に横わって池を眺めると、今は樹間をこめる紫っぽい夕暮の陰翳まで漣とともにひろがり、白鳥ばかり真白に、白樺の投影の裡に伸びた。

〔一九二七年五月〕