Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
わがちち
わが父
宮本 百合子
Lesen Sie わが父 (わがちち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.314 Zeichen · 19 Bildschirme
父は建築家としての活動にまめであった。且つ、建築家という一つの専門技術家の立場を、今日の社会の組立ての中で出来るだけ高めて行こうとする努力においてもまめであった。それらのことは父の葬儀の式場で、弔辞としても読み上げられた。併しながら、父が一人の父として、燦きのある暖い水のように豊富自由であり、相手を活かす愛情の能力をもち、而もそういう天賦の能力について殆どまとまった自意識を持たなかった程、天真爛漫であった自然の美しさについて、心から讚歎を禁じることの出来ないのは恐らく我々肉親の子ら、その中でも最も複雑微妙な情愛に結ばれて、謂わば諸共に人生の幾峠かを踰え終せたような娘の一人である私の心持ではないであろうか。ただ可愛がられる娘、父を慕う娘、そういう関係は永い歳月のうちに次第に変化もし、成長した。この三四年間には父と一緒に過す楽しい数時間、或は真面目に落着いた短い会話が、揺がぬ充実感で互を満すところまで高まっていた。言葉で云いつくせない人間としての信頼が互を貫いていた。
父に死なれて、私は初めて此の世に歓喜に通ずる悲しみというものも在り得ることを知った。