Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
「そうオ?」
自分の知らぬ間にそんな話が起っていたのかと、君枝はどきんと胸騒いで、二十歳という年齢が改めてくすぐったく想いだされたが、あまい気持はなかった。
むしろ、なにか欺された気持が強かった。質屋の御寮人から執拗くいろんなことを問い訊されたことも、いやな気持で想い出された。
「そいで、行ってみて、どやったの?」
元子は主任と同じようなことを訊いた。
「――どんな息子さんだったの?」
「さあ……?」
母親に似て変に蒼い顔をした若い男が、長火鉢の前で新聞をあっちこっちひっくりかえしながら、そわそわうかがうようにこっちを見ていたことだけ、記憶しているが、それも随分漠然とした印象だったから、
「――どんな人か知らん。うちなんにも考えてへんかったもの」
さすがに赧くなりながら、わりに正直に答えると元子は肱で君枝を突いた。
「あんた頼りないお子やなあ。敵の陣地へ飛び込んで、ぼやぼやしてたら、あかへんし。もっとしっかりしイぜ」
自分だったら、すくなくとも、主任から行けと言われた時にぴんと来て、どんな学校を出た男か、教養があるかないか、ネクタイのこのみがどうかまで、一眼でちゃんと見届けてやるんだと、二十五歳の元子は、分厚い唇をとがらし、元子は実科女学校へ二年まで行ったのが自慢の、どちらかといえば醜い女であった。