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Japanische Klassiker mit Furigana

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わがまち

わが町

織田 作之助

Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme

Aozora Bunko

丁稚らしい男がハーモニカを吹いている。

「流れ流れてエ、落ち行く先はア、北はシベリヤ、南はジャバよ……」

というその曲が、もう五十近い他吉の耳にもそこはかとなく物悲しかった。

ベンチに並んで、腰掛けた。

「お父つぁん、なんぜこんなとこイ連れて来んならんねん。けったいなお父つぁんやなあ。話があるねんやったら、はよ言いんかいな」

初枝がいくらか不安そうに言うと、他吉は横向いて、

「明いとこで涙出して見イ。人さんに嗤われて、みっともないやないか」

初枝はどきんとした。

「ほな、なんぞ泣かんならんようなことがあるのんか」

「…………」

他吉は黙って、マニラからの手紙を渡した。

初枝は立ち上って、瓦斯燈のあかりに照らして読んだ。

途端に初枝は気が遠くなり、ふと気がついた時は、もう他吉の俥の上で、にわかに下腹がさしこんで来た。

産気づいたのだと、他吉にもわかり、路地へ戻って、羅宇しかえ屋のお内儀の手を借りて、初枝を寝かすなり、直ぐ飛んで行って産婆を自身乗せて来たので、月足らずだったが、子供は助かり、その代り初枝はとられた。

「えらい因果なこっちゃな。死亡届けが二つと出産届けが一つ重なったやないか」